グッド・シェパード(The Good Shepherd)は、ピッグス湾事件を扱った監督ロバート・デ・ニーロ。主演マット・デイモン、アンジョリーナ・ジョリーの秀逸なスパイ映画です。
東西冷戦の序章
キューバでは、1959年1月カストロの革命政府が成立し、61年1月にはキューバとアメリカは断交しました。ケネディ政権は同年4月、反カストロ分子のキューバ侵攻を援助。これに失敗(ピッグス湾事件)すると、 62年1月米州機構からのキューバ除名、食糧・医薬品以外の全面禁輸などにより政治的・経済的なキューバの孤立化をはかりました。一方ソ連もキューバの戦略的位置に着目し、対キューバ援助を拡大し、62年9月には武器援助協定を締結しました。
映画グッド・シェパードで、監督ロバート・デ・ニーロ の言いたいことははっきりしています。CIAが腐敗したのは、民間の監察が行き届かない組織になり果てたからだ、と。「なぜCIAにはtheがつかないのか、って質問されたよ」新任の長官となる男が苦笑しながら語ります。「GOD(神)にtheはつかないでしょう?って答えておいた」この思い上がった姿勢が、数々のトラブルを暗示させて映画は終わります。米中央情報局を基礎からつくりあげ、しかし自分の理想とは違う姿に変わっていくことにとまどう男をマット・デイモンが好演。他にもこの映画にはこんな名セリフが。「ヒトラーを支えたのは軍人だと思うか?違うね。公務員だ」
アメリカ史の真相
アメリカ史の中の「 ピッグス 湾 事件 」をスパイの目を通して描く重厚なスリラーが映画グッド・シェパードです。原題(The Good Shepherd)が意味するのは、国家の”忠犬”となった男を暗示する”良い(犬の)シェパード”ではなく、新約聖書ヨハネ福音書にある「”良い羊飼い”は羊のために自分の命を犠牲にします」という一節の引用です。羊とは国家の理性とも読めます。